2024.8.25
お値段以上 桑木志帆-狙いすましてV
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第24戦『ニトリレディスゴルフトーナメント』(賞金総額1億円、優勝賞金1,800万円)大会最終日が8月25日、北海道苫小牧市・桂ゴルフ倶楽部(6,651ヤード/パー72)で行われ、桑木志帆が通算12アンダーでJLPGAツアー2勝目。「今大会はショットの調子がとても良かった。16番でボギーを打って、またやる気が復活した」と勝因を語った。1打差の通算11アンダー、2位タイは鶴岡果恋、ペソンウ。
(天候:曇り時々晴れ 気温:24.6℃ 風速:6.0m/s)
《グリーン=スティンプ:11 1/2フィート コンパクション:23mm》
初優勝に続き、JLPGAツアー2勝目も、月の最終週だった。ビシッと締める-という桑木志帆の心意気をアピールした最終日。大混戦を制した内容は本当に強かった。
お値段以上-といえば、やはり17番・残り130ヤードの第2打。「つま先あがりで、風は左からのフォローでした。アドレナリンが出ている感じだし、迷いはまったくなし。(カップへ)入れてやる、という気持ちです」と、言葉を区切って、「自信はありました。前3日間、すべていいショットを打つことができていたから。風に乗せてあげよう、とちょっと抑えてですけどね」と、続けた。
打球はピン方向へ。2メートルへナイスオンだった。直前の16番。痛恨の3パットで、この日、2つ目のボギーを叩く。コーチからは1日のボギーは2つまで、という約束もあった。「本当は、ノーボギーで行きたかった。でも、2つ目のボギーを叩いても、気力が萎えることはない。逆に取り返してやろう、とやる気が復活ですよ」と、心中の変化を語っている。
初優勝の経験が生きたそうだ。「後半の中盤から(2位の鶴岡)果恋さんが追い上げてきた。途中、おやおや…という感じもしたけど、同じ最終組の中で優勝争いができたことはありがたい。目の前にライバルがいる。戦いやすかった。ただ、今に集中と自分へ言い聞かせ、それほどスコアを気にしたわけではありません」。要は、客観的に戦況を分析する勝負眼を身につけたのだ。
一度は首位に並ばれたものの、すぐに単独首位を奪回。最終18番は、こんな余裕まで見せていた。第1打の後、歩きながらおにぎりをほお張る。「決して、ゆとりがあったわけではない。おなかがすくと私、眠くなる。だから3ホールに一度、一口サイズのおにぎりを食べることをルーティンにしています」。
第2打は安全にグリーンのセンターを狙い、2パットで逃げ切った。この日は好天ながら風速6.0m/s。気まぐれな風が大混戦を演出した。とはいえ、「準備不足」を理由に、AIG女子オープン出場を断念。今大会へかけた意気込みはどうだったか、といえば、「絶対に勝ちたい。本当に気合が入っていました。きょうもハートが沸騰」と頼もしい。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
メルセデスランキングは前週の12位から、5位へジャンプアップした。「調子は良くなったり、悪くなったりする。たとえ下がっても、また上がっていける自信が出てきた」という。シーズン複数回優勝の目標を達成して、どんな上方修正をしたのだろう。
「公式競技を勝ちたい。それができれば3年シードを獲得できる。USLPGAツアーへ挑戦したい」といい、「もうひとつあります。今年の最終戦、JLPGAツアーチャンピオンシップリコーカップを、ランキング3位以内で迎えたいです」とボルテージが上がる。
狙って勝った経験は、まさにプライスレスだった。
(青木 政司)
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