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2024.10.5

黄アルム、経験が呼び込んだ16年ぶりのステップV

<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 JLPGAステップ・アップ・ツアー2024シーズン第15戦『ルートインカップ 上田丸子グランヴィリオレディース』(賞金総額2,000万円、優勝賞金360万円)大会最終日が10月5日、長野県上田市・上田丸子グランヴィリオゴルフ倶楽部(6,314ヤード/パー71)で行われ、JLPGAツアー5勝を誇る黄アルムが大混戦を制し逆転V。通算14アンダーで、16年ぶりとなるステップ3勝目を飾った。1打差の通算13アンダー、2位タイに浜崎未来、山本景子、この日首位スタートでルーキーの與語優奈。
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 スタート前は首位の與語優奈とわずか1打差だった黄アルム。ところが、6番ホール終了時にはなんと5打差に広がっていた。黄がスコアを落としたわけではない。與語が6番までに5バーディーを奪うロケットスタートを見せたのだ。しかし、黄に焦りはなかった。

 「なんか自分が優勝できるとは思っていなかったので、単純に上手いなという目で與語さんを見ていました」。JLPGAツアー5勝、ステップ・アップ・ツアー2勝の黄だが、優勝する時には勝てそうな雰囲気が漂うという。今回はそれを感じなかったわけだが、その分自分のゴルフに集中することができた。気がつけば12番ホールまでにスコアを4つ伸ばし、なんと首位の與語に並んだのだ。それでも黄にはまだ1打ビハインドという認識しかなく、目の前の1打に意識を集中するだけだった。

 黄が優勝を意識したのは、通算13アンダーで最終18番を迎えた時だ。1つ前の組でプレーしていた浜崎未来が18番でバーディーを奪い、13アンダーでフィニッシュ。黄と同組の與語と山本景子は12アンダー。黄がバーディーを奪わなければ、プレーオフに突入する。

 「ピンを狙って打つしかない」と思いながら8番アイアンを握る。この日はピンまで140ヤードだったが、黄にとってラッキーだったのは17番・パー4でも第2打が140ヤード残り、同じ8番アイアンで打っていたことだった。しかも80センチにつけるスーパーショットでバーディーを奪っている。当然、いいイメージが両手に残っていた。

 大勢のギャラリーが見守る中、振り切ったティショットはピン左手前3・5メートルに止まる。それを沈めれば優勝だ。「もう緊張で手が震えていたので、入るとは思いませんでした」と振り返ったものの、ボールはカップに向かって一直線に転がり、静かに消えていった。その瞬間、何度も右手を上下に振りながら喜びを表現した黄。最後でこれまで何度も優勝争いをしてきた経験が生きた。実に19年のスタンレーレディス以来5年ぶりの優勝であり、ステップ・アップ・ツアーでは16年ぶりの勝利だった。


<Photo:Yoshimasa Nakano/Getty Images>

 「本当に自分が勝つと思っていなかったので、ビックリしています」。昨年、JLPGAツアーではメルセデス・ランキング78位となり、シード権を手放した。今季も11試合に出場して117位と振るわない。「体がいうことを聞かず、イメージどおりのインパクトを迎えられないのが不調の原因です」。わずかなズレが大きな曲がりにつながっていたわけだが、それも徐々に修正されてきたという。「良くなったり、悪くなったりですが、今回はたまたま良くなっているときに試合を迎えることができたんだと思います」。

 今回の優勝で明治安田ステップ・ランキングが12位まで上がってきた黄。まだ6試合あるだけに、さらなる上位も狙えるが気負いはない。「とりあえず優勝したことでQTのファーストステージが免除になり、今はホッとしています」。今月の17日には37歳を迎える。来季はJLPGAツアーに復帰してもうひと花咲かせたいところだ。

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