2024.10.19
岩井明愛、ワクワクドキドキだった上がり4ホール
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
JLPGAツアー2024シーズン第32戦『NOBUTA GROUP マスターズGC レディース』(賞金総額2億円、優勝賞金3,600万円)大会第3日が10月19日、兵庫県三木市・マスターズゴルフ倶楽部(6,506ヤード/パー72)で行われた。雷雲接近により午前9時31分に競技中断。11時14分に再開した。
この日、首位に立ったのは通算13アンダーでイミニョンと岩井明愛。2打差の通算11アンダー、3位タイで小林夢果、桑木志帆が追う。前週、今季初優勝を飾った山下美夢有は通算10アンダー、5位タイから逆転を狙う。
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《グリーン=スティンプ:11フィート コンパクション:23.5mm》
ギャラリーをワクワクさせるのが信条の岩井明愛だが、この日に限っては自らもドキドキさせた上がり4ホールだった。前半でスコアを3つ伸ばし、単独首位で迎えた後半戦、13番でこの日初めてのボギーを叩いたものの、15番・パー5でスーパーショットを見せる。
ピンまで残り225ヤードから5番ウッドを振り切ると、ボールはグリーンをとらえ、ピン右手前1.5メートルに。岩井といえば、アグレッシブなゴルフが代名詞であり、パー5での2オンはギャラリーも大きく期待するところ。それがベタピンについたのだから、まさにワクワク度100パーセントだった。
岩井自身も納得のショットだったのか、ギャラリーからの拍手に右手を挙げて応える。ただ、後から思えば、これが岩井劇場開幕の合図だったかもしれない。イーグルパットを沈めた直後、今度はドキドキが待っていた。
16番・パー4のティーショットだ。会心の当たりだったにもかかわらず、ボールは左サイドの池につかまる。3打目をドロップゾーンから打ったものの、グリーンには届かず、そこからのアプローチもグリーンをオーバー。結局ダブルボギーを叩く。ついさっき獲得した貯金をわずか1ホールで吐き出してしまい、ドキドキ度100パーセントに。
<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>
ショックがなかったといえば嘘になるかもしれない。続く17番・パー3でもグリーンをとらえることができず、ボギーに。この時点でイ ミニョンに逆転され、2位に順位を落としていた。しかし、目の前の1打に集中することをモットーとする岩井はあきらめない。3日間のトータル難易度第2位の18番・パー4で第2打をピン手前1.5メートルにつけ、バーディーを奪う。ワクワク度100パーセントで、通算13アンダーの首位でこの日を終えた。
スコアだけ見れば、15番から18番のスコアはイーブンだが、ワクワクとドキドキが交差した4ホールだった。今季はツアー3勝を挙げ、メルセデス・ランキング3位につけている岩井だが、技術はもちろん、メンタルの強さも並外れている。普通なら2ホールで3打落とし、トップの座から滑り落ちると多少は落ち込むが、岩井は18番を迎えた時、むしろ前向きだったという。「絶対にバーディーを奪ってやるという気持になっていたので、第2打は相当集中していました」と、マイナス要素は一切なかったのだ。
「性格的なものかもしれませんが、ミスを引きずることはあまりないですね。いい意味で自分は楽観的なので」。岩井の場合、ラウンド中のスコアや順位にこだわることも少ないが、それも目の前の1打に集中しているからだろう。だからこそ、劇的なスーパーショットを披露できるし、それがギャラリーからの喝采を呼び込んだりもするのだ。
今季の3勝はいずれも逆転優勝の岩井。混戦模様ではあるが、今季初の逃げ切り優勝を決め、自己最高のシーズン4勝目、そして年間女王への足掛かりとしたいところだ。
(山西 英希)
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