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2024.11.10

申ジエ-メッセージは66の猛チャージ

<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

第40回伊藤園レディスゴルフトーナメント グレートアイランド倶楽部(千葉県)最終日

 人生には、出会いと別れがつきものだ。申ジエは通算11アンダー、4位タイでホールアウト。2歳上の上田桃子のJLPGAツアー活動休止を受け、口を開いた。「すごく、さみしいです」と率直な感想を漏らした後、すぐさま、「これからの、上田さんの人生を見てみたい。すごく楽しみにしていることです」と、笑顔で話した。

 実は、このふたりにはこんな思い出がある。デビューから韓国ツアーで3年連続の賞金女王に輝き、満を持して09年からUSLPGAツアーに挑戦。デビュー戦はハワイだった。「アメリカデビュー。第1日、すごく緊張していました。その時、同組が上田さん。とても心強かった。それ以前、私は日本でもプレーしたことがある。だから、存じ上げていました。でも、残念なことに私は予選落ちでしたけどね」と、遠くを見るような視線で明かしている。

 では、どんな存在だったかと、いえば-。「すごく視界が広い方でした。ゴルフは個人競技。自分のことばかりで手一杯になることは仕方がない。でも、上田さんの両眼は、すごく広い世界をとらえていたんです。たとえば、ここ何年もJLPGAツアー全体のことを考え、キャリアの浅い、若い選手に成長をうながす助けとなっていました。技術だけではない。プロゴルファーを続けるためには、試合やスポンサーの重要性を説いていたように感じます。もちろん、私も相談があれば、親身になって受ける。そんな選手間の中心が上田さんでした。よく若い選手はいいことばかりを聞きたがるけど、悪いことも包み隠さず、お話していたところがすごい」と、明かした。

 その上で、「とても尊敬している。おそらく、考えて、考え抜いての決断だったと思います。(撤退の決断は)勇気がいることでしょう」と前置きし、「だけど、骨の髄まで上田さんはプロゴルファー。また、戻ってくる。私は思います。ということで今は、上田さんのこれから、を応援することにしました」に、つながったのだ。

 残念なことに24年は同組でプレーすることが叶わなかった。次週は欠場のスケジュール。「私はパリオリンピック出場という目標があったから、世界各地をまわってプレー。楽しかった。後悔したことはない。それが勝負の世界ですよ。上田さんにはごあいさつできなかったけど、お手紙を書いて次週、お渡しができるように託しました」と、つとめて明るい表情だ。レジェンドには周囲から、こんなリクエストがたくさん寄せられている。

 「私には、あと2勝で永久シードの目標があります。セカンドキャリアのことなど、考えたことはない。皆さん、50歳までプレーできると、いってくださっているけど、どうなるでしょうね」。まさに神のみぞ知る、ということか。

最終日、猛チャージを披露。さようなら-をいわず、惜別のメッセージに代える。まさに、プロフェッショナルのエッセンスだ。

(青木 政司)


<Photo:Atsushi Tomura/Getty Images>

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